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タイの映画shutter

最近のホラーものなのだ。心霊写真、鏡、ベッドの向こうから這ってくる幽霊、ミイラ、愛する人に裏切られ、レイプされ、失意のうちに自殺した女の霊などなど、これまでの有名な海外のホラーもののモチーフがてんこ盛り。パロディとしてみれば、笑える。

でも考えてみれば、ホラーって古いモチーフをどう新しく編集しなおし、怖がらすことができるかというところが重要なんだから、こんなものなのかなとも思う。

ホラー映画、というより幽霊(ピー)が出てくる映画は、その地域の土着の信仰をみごとに反映するという点で、私は好きだ。その国の人間をまず楽しませようとして作るのだから。その点で言えば、この映画は海外を意識して作っているみたいでおもしろくない。

パロディ満載で、怖くておもしろい方向に進むか、またはこれもよくあるが、か弱い女性を使って幽霊を退治してしまうというフェミニズム的方向に進むか、という二つの方向性を考えてもおもしろい。

最後、結局幽霊に取り憑かれた男性の彼女は、過去の彼のひどい行いを知って、出て行ってしまう。過去は許し、一緒に幽霊と戦いましょうね、とはならなかったところがいい。

映画の中で出てきたが、中国寺の救急隊の、あの事故処理の写真の数々は、私もいつも食い入るようにみてしまう。地方のバスターミナルにも、「事故を起こすとこうなりますよ。だからスピードには注意しましょうね」という意味で、事故直後の写真をよく飾っている。

蛙のようにつぶれた死体、手があっちで、足がこっちというバラバラ死体、死後時間が経ってふくれあがった死体、これでもかというように、死を身近に感じるよう、並べられた写真は、ほんとうに迫力がある。実際、事故が多く事故死が多いタイの地方で、何度も死体に出くわしたこともある。

「カム(業)」や「ウィンヤーン(魂)」などと名付けられた雑誌もよく売れている。たまにバスの中などで読んでいると、まわりの人が首を伸ばして一緒に読もうとする。読み終わって、膝の上に乗せて、うたた寝をしていると、いつのまにか私の雑誌は回し読みされて、バスの座席の遙か彼方へと運ばれていってしまう。それほどまでに読みたいものなのか。

それにしても映画の作りは、うまかった。やっぱり見ていて怖かったもの。次は、もっとパロディったホラーものがみたいなあ。

ついでに言うなら、暑いタイなのに、どうして映画の中の俳優さんたちは汗もかかずに涼しい顔をしていられるのだろう。ぞっとした。マリコ

by chachamylove2003 | 2005-11-20 00:55 | タイ映画