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母の退院

「友達の声が聞こえてん。絶体にそこにおるわ」
という母は慣れない車椅子を自分でこぎながら
病棟の一つ一つの部屋を巡って行く。
発する言葉もなく私は後をついて行く。

母は私を産んだが、結婚経験はない。
子どもを育てたこともない。
ずっと一人で生きて行くつもりで
80歳の今まで友達を大切にして生きてきた。
でもとことん年をとってしまうと、
みんな、それぞれのところに引き取られていった。
ほとんどは、子どもたちと同居。
またはどこかの施設。

一人ぼっちになって、認知症用のグループホームに
入ってすぐ、私があらわれた。
80歳になって、目の前に
「私はあなたの娘です」っていうのが現れたら
それが、オレオレ詐欺であったとしてもうれしい。

私が娘だということは、どれだけ認知症が進んでも
覚えているみたい、、、。
そのことはうれしい。
でももう名前も忘れたみたい。

これまでの共有した経験が全くない私たち二人は
かける言葉もないまま
同じ空気を吸って、同じ空間を共有して、
ほっこりするような、
イライラするような。

なんなんだろう。
どうしたらいいのだろう。
わからない、誰に聞いてもわからない。

認知症があまりにひどいので
明日病院を追い出されることになった。
リハビリは、、、、?

私はどうしたいの?
どうしよう。

父もまた、最期は認知症で私を困らせた。
認知症は遺伝か、、、、。
私もぜったいに認知症になるなぁ。

久しぶりに一人で酒飲んで、荒れてるマリコです。
明日、やっぱり病院にいかなきゃ。
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by chachamylove2003 | 2010-10-28 03:57 | 私的なこと

母の夜行列車

母が言う。
「夜行列車、見えるか?」
母は窓を指差す。
都会のど真ん中にある病院の12階の窓の外には
ネオンで輝く高層ビル街。

母がこけて、大腿骨を折った。
病院で手術し、人工骨を入れたが
それ自体は、問題なく終わった。

でも急に環境が変化したためか
認知症が悪化した。
今まで以上に私には理解できないことばかり言う。

「夜行列車、見えるやろ?どこ、行くんかな」

室内の蛍光灯が、暗い窓に反射して
長細いラインが映る。
高層ビルの間を走る、光り輝く夜行列車。

「見えるよ。どこに行くんかな」

母は満足そうに言う。
「どこに行くんかな。
でもあれは夜行列車やて、誰かが教えてくれてん」

母の記憶の夜行列車には、どんな想い出が詰まっているのだろう。
生まれてから今年になるまで、一緒にいたことがなかったので
私には想像もつかない。
きっと楽しい想い出なんだろうな。

幸せな想い出だけに囲まれて
最期の日々を過ごして欲しいな。マリコ
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by chachamylove2003 | 2010-10-27 02:14 | 私的なこと