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最後の会話

25日に大学に行った。同じ院生室のインドネシア人が聞いた。
「Yって二人いるの?Yが自殺したって聞いたけど、まさかあのY?」
何を言っているのかわからない。Yが自殺?まさかと思った。私が知っているYのはずはないと思い、彼の携帯に電話した。
女の人が出た。お母さんだった。
「Yは?」
「もう帰ってこない人になったのですよ」

それからは、もうドタバタ。
同級生でもあり、家も近かった。小学校の後輩でもあった。

最後の会話を思い出してみる。
23日の午後に会った。すれ違うときにちょっとだけ会話した。
「久しぶり、最近どう?」と聞くと暗い顔で彼は
「あきませんわ。詰まってしまって今年博論出せそうにない」
「そんなんゆうたら、私も同じや」
会話が暗くなるので、話しを変えようと思い
「最近私、毎日桃ヶ池(公園)の周り、走ってんねん」
彼の家のすぐそばの公園である。
すると彼は急に、にやーっと笑って言った。
「最近死体見ました?」
「いいや、最近みてへんわ」

それが最後の会話だった。
何年も前に、近所の公園での自殺の多さを話したことがある。
ホームレスが一番多かった頃は、年に13人も首つりがあった。
特に私は小さい頃、死体に遭遇しそうになったことがある。
朝練のため、池の周りを走っていたことがあり、たまたまさぼった日の夕刊を見ると、その日の朝、入水自殺した遺体が発見されたとあった。もし朝練をさぼらなければ、私が第一発見者となるところだった。
そんな話しを彼は思い出したのだろう。

通夜や葬儀で聞いた話を総合すると、彼は私とそんな会話をした後、近所の店へロープを買いに行って(レシートが残っていた)、その後勉強会に参加し、7時半頃友達と別れて一人になった。
そして閉まっている喫茶店の中に入って首をつったという。

1週間ほど前から調子が悪そうだったという。
でも私との会話は、彼に具体的なアイディアを与えてしまったのかもしれない。
道具を用意し、場所を探し、、、こだわりがあったようだ。
最後まで彼なりの美学を追究する人だった。

ご冥福を。合掌、マリコ。

by chachamylove2003 | 2006-10-28 01:55 | 大阪