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東北タイの少年ノート

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ノートは、15歳、中学3年生。色黒で小柄。まつ毛が長く、大きい目を持つ少年。大人でもない、子どもでもない微妙な年頃。耳にはピアスが2つ3つ。酒も飲むし、タバコも吸う。学校なんかに興味ない。

学校の先生は全員、ノートを叱ったことがある。授業中に当てても起立しない。「知らない」の一点張り。宿題なんて、やったことがない。そもそも毎日、学校に来ることがない。たまに来ては、教室の後ろの方の机で斜めに構えて座ってるだけ。

家に帰っても、そこで待っているのは、お母さんの新しいタイ人の彼氏やおじさんの賭場。みんな、酒を飲みながら日がな一日ギャンブルをして、ノートは彼らのパシり役。金に困っているわけではない。だってノートのお母さんの法律上の夫は白人(西洋人)。たまにしか来ないし、送金はきちんとしてくれる。

お母さんは、若い頃タイ人男性との間にノートを身ごもったがすぐに別れた。白人との間には2歳の子どももいるが、小児がんでずっと町の病院に入院している。だからお母さんはずっと病院にいてノートの弟の看病をしていて帰ってこない。

ノートには、居場所がない。なんとなく安心できるのは、ちょっと年上の村の男たちと一緒に酒とたばこを囲んでいるときだけ。学校ではみんなに、嫌われている。だから学校には友達と呼べる人がいない。

そんなノートが、サバイバル・キャンプに参加した。政府が全国自然農法ネットワークと協働して行う防災教育と環境教育を合体させたプログラムのキャンプで、不良になりかけの少年を対象に、被災時における応急処置、森における飲み水の利用、食用植物の探し方などのサバイバル技術を体得させることを目的としている。

7日間のキャンプに参加して、ノートの中の何かが変わった。財団が行う環境教育を目的とした森でのキャンプに誘ったところ、喜んで参加した。キャンプでは、年下の子どもたちの指導やまとめ役まで買って出た。病気の子どもも参加していたが、体調をよく観察し、面倒を見てくれた。

以前は宿題もしなかったノートが宿題をしてきたときには、学校の先生はみんな驚いた。それも毎日学校に通っている。何より驚いたは、彼が笑うようになったことだ。にこやかにほほ笑みながら挨拶までする。

彼はやっと自分の居場所を見つけたのかな?

by chachamylove2003 | 2011-08-03 15:10 | タイ諸々